土地から新築投資 魅力と難点

不動産経済ニュース

土地から新築の魅力

ここ数年で、土地から新築投資の注目が高まったと実感してます。理由としては、巷の不動産屋たちがオンラインサロンというセミナーや勉強会などを始めたのが最初のきっかけだと思われます。

  1. 自ら土地を探して購入
  2. 自ら設計会社、建築会社と契約
  3. 自ら調査し外装&内装、設備で差別化
  4. 販売業者の利益が乗ってないので高利回り
  5. 新築で融資期間も長くとれるため、長期保有〇 売却益◎

私のような一般投資家は弱小ごみ投資家と呼ばれています。デベロッパーやファンドには資金力もスピードにも負けてしまいます。しかし実体験からの知識の積み重ねが財産となり「土地から新築投資」は努力がそのまま直結するので大きな魅力だと感じています。

土地を探して購入するまでに、どのような建物が最有効活用ができるのか、自分でカラーで見えるようになるまで考え調べつくさなければなりません。実際に設計士にボリュームチェックの依頼⇒建築会社に見積りの依頼⇒銀行に融資打診の依頼。この一連の流れの経験や知識の積み重ね、そして今までの人脈が物件の収益性に繋がっていくものだと思っています。

土地から新築の難点

ここ最近の動向(2021年~2022年の市場)を観察すると、一部の地域では土地から新築投資に警鐘を鳴らすべきだと実感しています。

大きな理由は、投資家やデベロッパーがあまりにも収益性を求めるがために

  • 外壁はコンクリート打ちっぱなし仕上げ
  • 都市ガスの引き込みをやめ、電気温水器でオール電化仕様
  • WRC造のエレベーターなしの5階建て1R賃貸マンション
  • バルコニーなし極小アパート、マンションの濫立
  • 都心1Rの敷0礼0、極端なAD&フリーレントで上乗せ賃料設定

ある意味、知恵を絞った素晴らしい対応だと思いますが、似たような物件が増えてきて差別化が難しく感じております。

コロナ過によりリモートワークが増え、法人の転勤も少なく、外国人入居者も極端に減りました。その結果、都心のワンルーム市場で特に7~10万円前後の物件が有り余っている状態です。コロナ過前の状況に戻るには、まだまだ時間がかかると思います。

2021年には、東京23区で見ると初めて転出が上回る「転出超過」となりました。これは、1996年以来の25年ぶりだそうです。

※NHK WEBニュース参照

特に東京都内は外国籍の方の転出が多く逆に日本人は東京に出てきているそうです。

こういった現象はコロナ過が終わった後もしばらくは続くと思いますが、時間が解決してくれます。2021年~2022年のワンルーム市場は供給過多となっているため、コロナ過が落ち着くまで保有し続けられる体力があればいいのですが、そこまで耐えきれない方も増えてくると予想されます。既存の物件ならば極端な話、一時的に賃料を下げるなど対策が取れますが、土地から新築を建てた物件を1~2年で売却するのであれば、利回りを下げれませんので賃料も簡単に下げることなんて出来ません。そんな方は苦しんでいると思いますが、数ヵ月は耐える準備をしていきましょう。

賃借人の立場で考えてみる

一度振り返って考えるみると。

私たち投資家は誰から収入を得られているのでしょうか?

この図から分かるように

一番大切にするのは毎月継続的に賃料をいただける賃借人(入居者)です。

仮に、家賃10万円のお部屋に10年間住んでもらえれば1,200万円の家賃収入が入ってきます。それが10戸あれば10年間で12,000万円です。

この構築図から、私たち投資家は継続的に賃料を頂ける賃借人のおかげで資産が拡大できていることを忘れてはいけません。そのため賃借人に常に喜んでもらうことを追求していかなければならないのです。

投資家が高利回りを追い求めるがために、相場が8万円のお部屋を12万円で客付けしてもらうために極端なAD&フリーレントで上乗せ賃料設定が目立つようになりました。それを経験が少ない投資家へ4%で転売していたら、破産に追い込まれてしまう方も出てくるでしょう。買い手の投資家側に責任が伴いますので投資する物件はきちんと自分でレントロールの引き直して欲しいものです。

これがコロナ過でなければ、何も言いません。都内の人口は増え続けていたので多少無理してでも申込が入っていたからだと考えられるからです。

しかし賃借人も愚者ではないので、明らかに相場とかけ離れた賃料には見向きもしなくなってきました。

投資家は森を見るが、賃借人は木を見る

  • 都心の物件は利回りがあまり出ないけれどキャピタルゲインが狙えます
  • 郊外の物件は利回りが出るけれどもキャピタルゲインは狙えません

当たり前ですよね。

投資家は利回りだけで考えると失敗してしまいます。なぜなら、その地域の土地・建物に合った賃料の限界値は必ずあります。

200㎖のコップに水を入れてみます・・

例えば、この200ml入るコップには300mlの水は入らないと同じように、家賃相場8万円のお部屋に11万、12万にはならないのです。たまたまラッキーで入ったというケースもありますが、それを維持することは不可能に近いです。

利回りだけで計算すると知り合いに家賃8万円のところ12万円で一時的に入居してもらっていたり、ADとフリーレントの積み増しで12万円で入ってもらっていたりすると悪質な投資家や業者に騙されてしまいます。

不動産投資は利回りだけではございません。築年数、駅からの距離、積算、地域特性、入居者属性などさまざま考えさせられます。

しかしわたしの経験上、間違えがないのは物件選びは「顔」です。その土地に合ったばえる見栄えのいい物件は間違えがないと思っています。角地や前面道路の広さ、エントランスなどより物件が見える建物です。人間もそうですよね。子供の頃を思い出してください。足が速い子、勉強ができる子もそうですが、顔が良くてという前提条件が実は無意識に人は感じとっていたのです。

不動産は現物です。利回りだけでは語れない投資(ビジネス)のポイントが隠れているのです。

例えば、表面利回り7%の物件があるとします。そこには、

  • 転出超過エリアの7%と転入超過エリアの7%
  • 築年数30年の7%と築年数1~2年の7%
  • 駅徒歩15分の7%と駅徒歩1分の7%
  • 木造7%とRC造7%
  • 経費率3割の7%と経費率1割の7%
  • シングル物件の7%とファミリー物件の7%

表面利回りが7%あるから大丈夫と何故言い切れるのでしょうか。

投資する前に自分でレントロールを引き直しNETを計算しましょう。また、単身者向けの投資物件では、3年に1回くらいの回転率を見込むべきです。1棟10戸入りの物件ならば、年間3.3戸は入れ替わる計算です。そうすると3.3戸×(修繕費+広告費+空室期間)を最初から必要経費に入れておくのです。フルローンで金利3~4%で借りていたら最初からマイナスになることは目に見えています。

逆に既存の物件には本来200mlの水が入るコップに150mlしか入っていない物件を探し出し、そういった物件を探して投資していくのも面白いと思います。

目線を変えてみます。さて、賃借人は何をみてお部屋を決めますか!?

想像してみてください。例えば、あなたの息子さん、娘さんが初めて上京してきます。もちろんその土地も考えますが、建物を重要視しますよね。例えば、セキュリティ面はしっかりしているのか、日当たりが良いのか、設備はきちんとしているのかなど、親御さんにとって安心してお子さんに入居してもらえるために、建物か細かく見ていますよね。

つまり投資家は「森」を見ているけれど、賃借人は「木」の細部まで見て決めているのです。

土地から新築はとても魅力的です。ですが、単純に利回りだけで作ってしまいますと失敗する場合がございます。賃借人から選ばれ続けられる物件が本当の利回りです。賃借人に喜ばれるお部屋作りをして楽しく儲けていきたいですね。

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